機能性金属ナノ材料

機能性金属ナノ材料

金属及び合金をナノ化することで特異な性質が発現すると期待されている。しかしながら、金や銀を除き、遷移金属やその合金のナノ粒子が実用化された例は極めて少ない。 特に、複数金属元素を含む合金を合成するためには複数種の金属イオン/錯体の還元反応速度を均質化する必要があるため、均質な合金ナノ粒子を合成することは容易ではない。また、ナノ化に伴い表面が高活性化し酸化被膜が形成するため、金属としての表面特性が発現不可能となる場合も多い。表面保護膜を形成することで酸化は抑止可能であるが、この場合も表面特性は発現出来ない。そこで本研究室では、原料溶液中の金属元素の状態を厳密に単一種に制御することで還元析出挙動を制御する技術左図)、析出過程において表面に耐酸化特性を付与するための技術、表面酸化被膜のみを除去する技術、などを開発し、均質で高結晶性の、高機能性金属ナノ材料を合成する技術開発を行っている。

 

合金触媒ナノ粒子

複数の金属を合金化すると、アンサンブル効果やリガンド効果により触媒活性や選択率に変化が生じることが知られている。また、触媒反応は表面反応であるため、ナノ化は反応速度向上などに大きく寄与する。この様な合金ナノ粒子は、単純には金属塩の溶解と還元剤投入による還元析出、により合成可能であるが、多くの場合、様々な組成や結晶構造のナノ粒子の集合体や組成が定まらないアモルファス的な物質が形成する。この様な不均一な材料の集合体では様々な結晶面が露呈するため様々な触媒反応が進行し、反応生成物の選択性が低下する。そこで本研究室では、均質で高結晶性の合金触媒ナノ粒子(左図Pd20Te7合金ナノ粒子)を、ビーカー等の単純な容器のみを用い、室温程度の省エネルギー反応条件下で、合成するための技術開発を行っている。

 

導電性ナノ粒子

金や銀のナノ粒子を用いた導電性材料は実用化されているが、単価が安い銅の導電性ナノ材料の開発は発展途上にある。これは、銅はバルクの状態では銀と同等の導電率を有するがナノ材料化すると抵抗値が増加する、ためであり、その原因は銅と酸素の親和性が高く容易に表面酸化被膜を形成すること、にある。表面保護膜を形成することで酸化被膜の形成を抑止することは可能であるが、表面特性が破棄されるという観点からは表面保護膜は酸化被膜と同義となる。また、表面酸化被膜中の酸素は、材料内部の欠陥部位を通じて表面から内部に進行し、材料を腐食することも、遷移金属ナノ粒子の実用化の大きな障害と言える。そこで本研究室では、銅錯体状態と還元剤の特性を同時に制御する事で、保護膜無しに酸化被膜を抑制可能な耐酸化性を有する状態の高結晶性銅ナノ粒子を、低温焼結が可能となるサイズで合成するための技術開発を行っている。

燃料電池材料などの担持材料

燃料電池の正極及び負極は、担体表面に酸化還元反応用触媒材料である貴金属ナノ粒子が存在した材料、で構成されている。一般的に、貴金属イオン/錯体を含む溶液に担体を分散させ、そのまま乾燥し、水素気流中で還元する、という過程を経る含浸法で合成されている。本手法は簡便に且つ大量に処理が可能であることから、燃料電池電極材料のみではなく、触媒材料の合成に広く用いられている。しかしながら、サイズと担持量を同時に制御することが難しいという欠点を有する。そこで本研究室では、金属錯体状態を制御することで還元析出過程を制御し、サイズと担持量を同時に制御する技術開発を試みている。(上図はカーボン担体上にPtナノ粒子を析出させたもの)